四方を山に囲まれた台北市。自然の美に触れたい時、公共交通機関でアクセスできるのも魅力のひとつです。台北には、北は陽明山国家公園から、南は指南宮や猫空がある二格山まで、大屯山系、七星山系、五指山系、南港山系、二格山系の五つの山系があり、この五大山系には、台北市政府によって20本の親山歩道(ハイキングコース)が整備されています。気軽に台北の美しい自然を体験しに行きましょう。
台北の�庭∼陽明山国家公園
古くは「草山」と呼ばれた陽明山は、昔、日本人によってクロマツ、ソウシジュ、タイワンフウなどが広範囲に植樹されました。さらに温泉が開かれ、陽明山の観光資源の利用が始まりました。その後1950年に明代の学者、王陽明を記念し「陽明山」と改名され、1985年に「陽明山国家公園」として整備されました。美しい景色とアクセスの利便性から、台北の人気レジャースポットになっていて、「台北の�庭」の異名を持っています。
多様な生態系を擁する陽明山では、毎年、陽明山フラワーフェスティバルが開催され、鮮やかなツツジやヒガンザクラ、竹子湖のカラーが大地を彩る春の景色を多くの人が心待ちにしています。また、10月になれば、風に揺れるススキや色付いた葉が織りなす秋色、冬には、冷たい風と霧雨が作り出す、霧がかった冬景色が現れます。花見でも温泉でも、四季折々の風情を楽しめます。
台北初の親山歩道∼貴子坑親山歩道
大屯山系にある貴子坑親山歩道は、台北市政府が初めて整備したハイキングコースで、キャンプ場、砂防公園、環山ハイキングコースなどを擁するレジャースポットになっています。エリア内にある「100平台」と「110平台」という二つのキャンプ場では、それぞれ異なるスタイルのアウトドア体験ができます。
台北市政府工務局大地工程處道路步道科の夏賢統科長は、貴子坑水土保持教學園區(砂防公園)では、台北で最も古い地層である「五指山層」と、池や緑が互いに映え合う美しい景観が楽しめるといいます。また、この緑豊かな自然公園では、コジュケイやハクトウオウといった鳥類の姿を観察することもできます。時には青空を旋回するタカの姿も見え、悩みも吹き飛ぶような清々しさが感じられます。
天母の新しい遊び方∼天母古道親山歩道
異国情緒ただよう天母に位置する七星山系の天母古道親山歩道。足を運んだ多くの旅行者が、これほどまでに美しい景色が天母にあったのかと驚いています。「水管路步道」とも呼ばれるこの天母古道は、日本統治時代、第三水源地の湧水を天母や士林一帯へ引き入れるために作られました。2004年、台北市の文化財に指定され、天母地区初の古跡、そして全国初の「給水システムの古跡」になりました。1932年の竣工から現在までの80年間で、湧水の水量は大幅に減少し、大量の給水はできなくなりましたが、今でも天母の一部の地域には給水が行われています。両脇に木々が生い茂る歩道沿いに、長さ647メートルにも及ぶ、高圧鋳鉄製の黒く大きな水道管が走り、水道管に耳を近づけて湧水が流れる音を聞く旅行者の姿がよく見られます。また、手付かずの自然が多く残されていて、シダ類やクワズイモなどの植物が茂っています。ゆっくりと散策すれば身も心も癒されるだけでなく、台北の水源の歴史にも触れられます。
トレッキングも景観も合わせて楽しむ∼劍潭山親山歩道
華やかな中国の宮殿を思わせる圓山大飯店は、創業60年以上。世界的スターのエリザベス・テイラーやアラン・ドロン、米国のアイゼンハワー元大統領も投宿したことがある、世界的に名の知れたホテルです。高所からこのホテルの優美な姿を望むなら、ホテル後方にそびえる劍潭山の親山歩道を歩いてみるといいでしょう。五指山系の中でも人気のコースで、原生林のほか、かつて軍事管制区だったため、廃棄軍事施設などが大きな特色になっています。上に行けば行くほど視界が広がり、圓山大飯店だけでなく、河濱公園や美麗華(ミラマー)の観覧車などを眼下に収めることができます。一番の名所は「老地方觀機平台」と名付けられた展望台。台北松山空港に離着陸する飛行機が見られ、時折歓声が上がっています。
都会の中の大自然∼虎山生態歩道
象山から台北の街並みを見下ろしたことがあるなら、同じく南港山系にある虎山生態歩道は見逃せません。虎山溪(河川)が整備され、毎年4月、5月にホタル観賞が楽しめるようになりました。松山鎮山宮横のホタル観賞エリアには、桟道と景観台二カ所が設置され、台北101を眺めながら、遠くミラマーエンターテインメントパークの観覧車も望めます。ホタル観賞の時期、天気が良ければ、この上なく美しい景観に出会えるでしょう。
二格山系の人気ハイキングコース∼指南宮猫空親山歩道
猫空ゴンドラ動物園駅と指南宮駅の間にある指南宮猫空親山歩道には三つのコースがあります。指南宮歩道は日本統治時代に作られたもので、風情ある石灯籠が点在し、日本の趣を色濃く帯びています。コースをまっすぐ進めば指南宮に到着し、その美しい廟宇建築に触れることができます。また、大成殿歩道では毎年5月頃に「五月雪」と称されるアブラギリの白い花が咲き誇ります。そして、茶展中心歩道では脇を流れる川や茶園、棚田に加え、最大の特色であるポットホール(岩にあいた穴)の景観が楽しめます。「猫空」という地名は、昔、人々がここ一帯を台湾語で「ニャオカン」と呼んでいたことに由来しています。
幸せな桜色に染まる春∼山に親しみ桜観賞
花開くうららかな春の旅に、夏賢統科長が勧めるのは、桜観賞ハイキングの旅。上述の遊歩道のほか、北投区の風尾歩道や復興三路の白宮山莊歩道、士林区の竹林歩道、內湖区の碧山巖歩道なども人気の高い桜の名所です。台北を訪れたなら、自分好みの山を見つけてハイキングに挑戦してみませんか。景観が楽しめ、運動にもなり、一味違う楽しさが味わえることでしょう。
アクセス方法:
貴子坑親山歩道
MRT淡水信義線復興崗駅出口を出て右へ。「捷運綠廊」の標識に沿って歩いて登山口へ。または、216、218のバスに乗り、「復興崗」または「秀山路口」下車。
天母古道親山歩道
MRT淡水信義線劍潭駅から紅5、260のバスに乗り「山仔后」下車。歩いて愛富三街登山口へ。または、220、224のバスに乗り「天母」下車後、天母派出所方面へ進み、中山北路7段の最終地点にある登山口へ。
劍潭山親山歩道
MRT淡水信義線劍潭駅下車後、徒歩で登山口へ。または、203、218のバスに乗り「劍潭站」下車。
虎山生態歩道
MRT板南線後山埤駅下車後、中坡南路に沿って福德街方面へ。徒歩約20分で福德街251巷の慈惠堂登山口へ。
指南宮猫空親山歩道
MRT文湖線動物園駅下車後、236、237のバスに乗り「政治大學」下車。指南路方面へ進み、政治大学の校門前を通って、指南路3段33巷登山口へ。帰りは台北市鐵觀音包種茶研發推廣中心から歩いて三玄宮横の猫空ゴンドラへ。ゴンドラに乗り、MRT動物園駅へ。
関/連/情/報
陽明山国家公園管理處
所在地:陽明山竹子湖路1之20号
電話:(02)2861-3601
http://www.ymsnp.gov.tw
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